選挙雑感(2021 第49回衆院選)

2021年10月19日公示、同31日投開票の第49回衆議院議員選挙の雑感。

事実の正確な記録というより、当時の印象や感想を保存することを目的としているため、記述の正確性に欠ける。特に僕は野党びいきのため、主観にバイアスがあることをあらかじめお断りしておく。

 

 

前評判ふりかえり

自民党議席の大幅減は既定路線で、単独過半数を維持できるかどうかといった評判。安倍氏が総理を退き、後任の菅氏はコロナ無策でガンガン内閣支持率を下げ、とうとう総裁選不出馬を余儀なくされる。総裁選では岸田氏、河野氏高市氏がしのぎを削るが、(自民の中でも特に保守寄りの層から高い支持を受ける高市氏、若手中心に人気の高い河野氏を抑えて)岸田氏が勝利した。海外などは河野氏勝利を予測(期待?)していたため、これはサプライズだったらしい。安倍氏に比べて知名度や人気で劣る岸田総裁での選挙戦で、やや不安な展開だったようだ。

 

立憲民主党共産党社民党との野党共闘が本格化し、小選挙区自民党議席を奪いにいく格好。共産党との連携には連合などの反発もあり紆余曲折あった。選挙戦では全国40区程度の接戦区が注目された。選挙前には、本田氏の党員資格停止やれいわの山本氏の立候補区の調整不足など、執行部のガバナンスに不安を感じさせる出来事が散発した。

 

共産、社民:野党連合を結成。共産党は公約のジェンダー平等の項目に、表現規制反対からの転回を思わせる記述がありネット上で騒ぎになった。

 

国民民主党:あまり印象がない。野党連合に参加せず独自路線を貫いたことを評価する声としない声があった。

 

維新:前評判ではあまり話題になっていなかったように思う。コロナ対策ではパフォーマンスばかりが目立ち実務的にはボロボロだった印象(雨ガッパとかイソジンとか)だが、高く評価する人も多いようだ。

 

選挙結果

自民党議席を減らしたが単独過半数を維持。与党で絶対安定多数も確保し、安定した政権運営を可能とした。維新を合わせた改憲勢力で2/3を確保している点も気になる。一方、平井氏、石原氏、甘利氏などの小選挙区敗北(甘利氏は比例復活)があり、スキャンダルを起こした議員は支持を失うことが明らかになった。

 

立憲民主党:まさかの議席減。自民が減らす議席のうち、少なくとも半分くらいは立民が獲るものだと思っていたので、これは意外だった。辻本氏の小選挙区敗北(比例復活もならず)も残念だった。枝野氏自身も苦戦したようで、立民は予想以上に厳しい結果だったように思う。自民党に逆風が吹く中のこの結果は、有権者の受け皿になれていない、立民の厳しい現状を表していると思う。

 

維新:躍進。公示前勢力の3倍以上の議席を獲得し、議席数で第3位に躍り出た。今回の選挙でもっとも勝利した政党かもしれない。

 

共産・社民:共産は2議席減、社民は1議席を維持。野党共闘の甲斐なく、と言うべきか、立民も含めて公示前勢力を上回れなかった。

 

国民民主党:公示前勢力から3議席を追加。こうしてみると、野党連合に加わらなかったことが奏功したのであろうか。

 

そのほか:N国は議席を失った。良かった。

雑感

選挙結果に満足しているのは維新、れいわの2党で、自民・公明と国民民主はまずまず、立民、共産は不満という感じだろうか。個人的には、与党が政権を維持するのは既定路線として、絶対安定多数が阻止できれば国会論戦にも多少の緊張感が出てくるのではないか、と期待していたので、残念である。

また、野党連合が想像以上に支持を集められなかったのも残念である。これは常々言われているが、経済や外交(特に対中関係や対米関係)、安全保障といった分野であまり信頼されていないのが問題なのであろうか。立民は脇の甘さが目立つ*1ので、1回の選挙で一発逆転を狙うより、地道に地盤作りを頑張ってほしい。

野党共闘について、一定の戦果は挙げた(自民の大物議員の小選挙区敗北)と思うが、一方で野党連合の支持が伸びなかった(むしろ議席を減らした)。勝手な印象としては、これは野党共闘というよりも政策パッケージに問題があったと思うので、分析・反省して次に生かしてほしいと思う。

実は今回、各党の選挙公約の比較などはほぼしていなくて反省している。もう少しちゃんと調べてから投票に臨むべきであった。

選挙報道では、三春充希(はる)氏(@miraisyakai)による情勢まとめが興味深かった。

*1:まぁ、同じ不祥事でも自民や維新の議員に比べて立民は叩かれやすい印象があるが、それはもうそう負いうものと思って自衛するしかないと思う。